菌界の分類って結構難しいよねって話
魚病には菌類が原因の病気もあるのです!
- 菌界とは
ホイタッカーさんが1969年に、「ヘッケルさんの3界説よりも5界説のほうが便利だよね」って提唱して、1988年にマルグリスさんが「ホイタッカーさ んの5界説よりこっちのほうがいいよ」ってアップデートした感じですね。そんなニュアンスです(笑)

さて、
動物界、植物界、菌界、原生生物界、原核生物界この5つの中の菌界と原生生物界が今回のテーマです。
- そもそもどうして菌界?
菌といえば、すべて菌界に分類されると高校時代から信じていたわけですが、どうやらちがうようです。
中学校では菌類・細菌類っ て一緒くたに覚えさせる悪い風習があるのですが(平成2年生まれではそうでした)、全く別の種類です。それは知ってました。
細菌類は原核生物界で菌類は菌界。全然違う。
誤解していたのは、そこではないのです。
菌類でも菌界に属していないやつがいるみたいなんですよ。
出典は
・秀 文堂生物図説第6版(←6版なかったので2012年版のリンクです)
・冬虫夏草の謎

- 菌類の分類をしてみよう

「菌類にはまず大きく分けて、変形菌(粘菌)門と真菌門の二つのグループがあるとされる。このうち変形菌門は近い将来、菌類からはずされ、新たな所属が決 まるだろうと言われている。」
となっています。
変形菌は菌界ではなく別の界に移動するようです。
次に秀文堂生物図説のマルグリスの新しい5界説の菌類の部分を引用します。
菌界
・担子菌類・子嚢菌類・接合菌類・地衣類
原生生物界
・変形菌類・卵菌類

というわけで、菌類だからと言って、すべてが菌界ではないんだよってことがわかりました。
なかなかややこしいですね。
余談ですが
「冬虫夏草の謎

「イモ」という言葉は面白い。じゃがいもはナス科の茎、サトイモはサトイモ科の茎、サツマイモはヒルガオ科の根、ヤマノイモはヤマノイモ科の根。
一口にイモといっても、所属するグループは違うし、植物体上の部位もまた様々だ。それでもまとめてイモという。
分類ってこういうことなんだ~っと納得できる一文でした。ぜひ読んでみてください。

- 魚病の真菌病は菌界の菌類なのか?
真菌病というぐらいなのだから、すべて菌界に含まれるはずだと思っていました。
ですが、
実際はほとんど菌界に含まれていません。
今回参考にした魚病の文献4冊すべてに真菌病であると書かれています。
それぞれの文献によって分類が違ってたりします。
おかしいぞ。
内容が食い違ってる。
例えば、ミズカビ病
ミズカビ科に属するSaprolegnia属の菌が魚類に感染する ことで発症する病気。
これ卵菌類なんですよ。
原生生物界。
イクチオホヌス症は
以前は接合菌類に分類されていたのですが、現在は原生生物界のメ ソミセトゾア綱に分類しなおされているそうです。
出典 PHYSIOLOGICAL EFFECTS OF THE PARASITE ICHTHYOPHONUS ON SPAWNING CHINOOK SALMON AND THEIR OFFSPRING IN A YUKON RIVER TRIBUTARY←英語の論文な のでgoogle翻訳使って読んでみてください!
フサリウム症なんかは不完全粘菌に分類されているのですが・・・・
不完全粘菌は、無性生殖しかしないから、どの分類なのかわからんのでとりあえず不完全粘菌って分類になってる、すごくあいまいな分類群なのです。
不完全粘菌類は門を形成してはダメなんてルールがあったりするので真菌と 呼んでいいかどうかは微妙なところです。
出典 真 菌の分類と同定
- どうして真菌病って名前なの?
これには理由があります。
まずは参考文献をどうぞ。
原 生生物の多様性に基づく真核生物の新しい高次分類体系
こちらの論文に書かれているように、短期間の間に界の分類が頻繁に変わったのです。
キャバリエ=スミスさんの8界説が提唱されてから、教科書は煩雑すぎる界の数に触れるのをやめたと書かれています。
この分類に沿って本を書いていたらしょっちゅう魚病の名前を変えないといけません。
アーケゾイ病とか原生動物病とかクロミスタ病とか。
めんどくさいですよね。
最初は、魚病に関連する菌類はみんな真菌門だったのです。
なので真菌病で統一されてるみたいですね。
- まとめ
正しく理解するには論文を複数読む必要があります。
ちなみにマルグリスの5界説の後に、3界説(urkingdoms)、3ドメイン説、8界説、6界説、6スーパーグループ説みたいな感じで変更になってい ます。(2009年現在で)
